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現在・過去・未来・国際...業界研究の切り口を探る
現在・過去・未来・国際...業界研究の切り口を探ろう
コロッケひとつからでも深~い世界が読み取れる
こんにちは。SPARK新卒採用チームです。
就活にはさまざまなフェーズがありますが、「どんな業界・企業に就職するか?」を決定する上で、業界研究は非常に重要です。
しかし、社会経験がない・乏しい就活生は、一生懸命研究しているつもりでも、表面的な浅い知識を得ただけで「この業界のことはだいたいわかった」と判断してしまいがちです。
そこで、今回は業界研究をする上で「現在・過去・未来の時系列」「国際的に見た業界展望」「マクロ視点・ミクロ視点」など、鋭く独創的な業界研究の切り口を見つけるテクニックをご紹介します。
「何となくわかった」が落とし穴!
例えば、あなたが冷凍食品業界に興味を持ったとしましょう。
「業界研究 冷凍食品」などのキーワードで検索してみると、
- 市場規模
- 市場占有率上位企業とシェア率
- 弁当関連の需要縮小、共働き・単身・高齢者世帯をターゲットにした夕食市場開拓の重要性
- 女性の活躍により家事の時間短縮→冷凍食品活用が予測される
- 輸入冷凍食品の安全性の問題から国内メーカーの需要増
といったことは簡単に調べられます。
これらを調べただけで、「なるほど、冷凍食品業界の概要が何となくわかったな」という印象を受けますが、実はこれが最も危険な落とし穴!
こういう、「いきなりまとまった情報を手に入れよう」という安易な姿勢が、業界研究を浅くしてしまう最大の要因となるのです。
業界研究の切り口 その1
現在・過去・未来
現代は外食・コンビニ・弁当店・惣菜店・スーパーなど、あらゆる場所で手軽に買える冷凍食品ですが、
「過去はどうだったのか?現在はなぜこういう状況なのか?」という疑問を持って調べ始めると、いろいろおもしろいことがわかってきます。
ここでは、冷凍食品の代表的な主要品目のひとつである「コロッケ」に注目してみましょう。
【過去】
- コロッケの原型はフレンチの「クロケット」で、明治期頃に日本に紹介され、日本独自の「洋食」として改良され、日本型の「コロッケ」が完成した。
- 元々は高級料理だったが次第に大衆化し、大正期頃から家庭でも作られるようになった。
- 昭和29年、冷凍コロッケが学校給食に使われるようになった
- 電子レンジの普及で「揚げない冷凍コロッケ」市場が拡大
- ファミレスや「中食産業」で「業務用冷凍コロッケ」の需要増
このような歴史を紐解きながら、いつごろどんな企業が誕生し、どんなヒット商品があったか、どのように勢力を伸ばしていったのか...といったことを時系列的に調べていくと、
〇業界内主要企業の「強み」のルーツがわかる
〇業界の成長・成熟の過程や市場シェア率の推移が時系列でわかる
といったメリットがあります。
また、過去、現在と研究を進めることで、「ではこれからの冷凍食品業界はどうなっていくのか?」という展望を広げることができます。
例えば、
- 超高級コロッケのニーズはないか?
- 今までにない市場を開拓できる可能性はないか?
- 調理しないで食べられる(常温解凍)冷凍コロッケは、高齢者市場にニーズがあるのではないか?
といったひらめきが得られれば、さらに業界研究の独創性を高めることができるでしょう。
業界研究の切り口 その2
国際的な視点
業界研究をしていく上で陥りやすいのが、「業界」という言葉にとらわれすぎ、日本国内の事情ばかりを深掘りしてしまうことです。
冷凍食品業界に限らず、現在の日本企業の多くは海外展開をしています。また、外国企業の業界参入も珍しくありません。グローバル経済下の日本、これから長らくビジネスパーソンとして活躍していくのなら、国際的な視点での業界研究が欠かせません。
冷凍食品市場は欧米が先行しており、特にアメリカ、カナダ、イギリスの消費額が突出しています。
日本の冷凍技術は世界的に定評がありますが、その割に日本サプライヤーの世界シェアは大きくありません。
「嗜好の問題か」「商品開発の問題か」「コストの問題か」「規制の問題か」など、原因と思われる要素をひとつずつ深掘りしていくだけで、意義のある業界研究ができるでしょう。
業界研究の切り口 その3
マクロ視点とミクロ視点
少しでも経済学をかじった人なら、経済学は「マクロ経済学」と「ミクロ経済学」に大別できることをご存じでしょう。
マクロ経済学とは、一国の経済全体を扱い、国民所得・失業率・インフレーション・投資・貿易収支などのデータを基に、生産物市場、貨幣市場、労働市場を研究対象とする経済学です。
これに対し、ミクロ経済学とは、経済主体の最小単位である「家計」や「企業」の経済活動に着目し、市場のメカニズムや景況を分析します。
経済という巨大な対象を研究するためには、このようにマクロ視点(巨視)とミクロ視点(微視)の両方から体系的に考えなくてはいけないということです。
これは、そっくり業界研究にもあてはめることができます。
冷凍食品業界の例にあてはめると、マクロ視点なら、例えば日本の冷凍食品の需要を「業務用冷凍食品」と「家庭用冷凍食品」に分け、それぞれの国内生産量や消費量に着目するといった切り口があります。
業務用冷凍食品は外食産業や総菜・弁当などの中食産業に用いられ、家庭用冷凍食品の需要を大きく上回っています。ここから、国内生産量の上位を占めるうどん、コロッケ、ハンバーグ類など、個別の商品に目を向け、研究を掘り下げていくことができます。
しかし、もっと鋭い切り口を探すなら、マクロ視点よりもミクロ視点のほうが適しているでしょう。
先ほどの「コロッケ」を例に考えてみましょう。
コロッケは、ジャガイモを茹でるなどして家庭で一から作れる総菜です。しかし、コンビニや精肉店などで、すぐに食べられる状態でも販売されていますし、揚げ物専門店でも購入できます。スーパーでは、総菜・冷凍食品の両方が販売されています。
ここで、「なぜ、スーパーでは出来合いの総菜としてコロッケを売っているのに、冷凍コロッケも売っているのだろう?」といった疑問を感じられれば上々です。
なぜなら、研究とは「疑問」からスタートするべきだからです。
冒頭で説明したように、現在はインターネットで検索すれば、たいていの事柄についてまとまった情報を入手できます。しかしそれでは、「わかったような気」になるだけで、疑問が湧いてきません。
疑問が湧かなければ、それ以上深く調べようという意欲が湧かず、その結果「既存のまとまった情報」だけを丸覚えすることによって、研究の独自性が失われるのです。
「なぜスーパーでは総菜と冷凍食品、両方のコロッケを扱っているのか?」
「冷凍食品は長期保存できて、いつでも温めて食べられるから」
「総菜だって冷凍できるじゃん?」
「でも、それなら冷凍食品のほうがおいしい」
「...待てよ、冷凍食品は冷凍→加熱に最適な調理がなされている。なぜそんなことが可能なんだろう?冷凍食品主要メーカーの調理技術は、各社どう差別化されているのだろう?まずは食べ比べて、次に各企業の広報に問い合わせてみようか」
このように、興味がある業界の最も身近な製品・サービスに着目し、そこから疑問を膨らませていくことで、オリジナリティに富んだ業界研究が進められます。
企業研究は個人的な興味からスタートした独創性がポイント!
今回は、企業研究の「独創性」を非常に重視していることに気付いていただけたでしょうか?
「その業界を目指す就活生なら誰でも知っている」程度の知識を網羅したところで、それは業界研究をしたうちには入りません。
せっかく貴重な時間を費やして研究するのですから、研究成果が企業研究や面接のフェーズで生きるような研究をしたいものです。
もちろん、「自分が興味を持った事柄だけを深掘りして勉強し、結果として業界全体を見ていなかった」というようなことでは困るのですが、要領良くまとまった既成の情報を頭に入れるだけでなく、独自の視点と興味を持って研究したことは、「世界であなただけの独創的な知的資産」となります。
そういう知的資産を持っている人は、採用面接での自己PRや逆質問で強力なアピール力を発揮できます。
業界研究は、自分がその業界の概要を把握できればいいというものではありません。
その業界を深く知ること・問題意識を持つことによって、次に企業研究の段階に進んだときに、より深くより鋭く切り込むことができるでしょう。
また、そうすることによって、面接に進んだ段階でも、ほかの応募者より抜きん出たアピールが可能になり、「非常に意欲的な人材だ」という印象を面接官に与えることができます。これは大きなアドバンテージになるはずです。
面倒な作業かもしれませんが、ぜひ意欲的に取り組んでみてください。
SPARK新卒採用チーム
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