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採用市況感レポート2022年6月(厚生労働省調査データから)

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皆さんこんにちは。株式会社天職市場アナリストチームです。
2022年6月分の一般職業紹介状況が2022年7月29日に、毎月勤労統計調査(速報)が2022年8月5日に公表されました。こちらに基づいて2022年6月分の採用市況感レポートをお届けします。

有効求人倍率、新規求人数及び新規求職申込件数の動き(2022年7月29日データ)

有効求人倍率(季節調整値)

(厚生労働省 一般職業紹介状況(職業安定業務統計)より)

2022年6月の有効求人倍率は1.27と、前月から0.03ポイント増という結果となり、2022年に入ってからの調査ではこれで5ヶ月連続での増加となりました。6月に入って0.03ポイントと、前月までの0.01ポイント刻みでの増加ペースから0.02ポイントアップしたことについては、この後の新規求人数と新規求職者の推移を見た上で解説いたします。

新規有効求人数推移(季節調整値)

(厚生労働省 一般職業紹介状況(職業安定業務統計)より)

企業が新たな人材を求めて採用活動を行う新規求人数推移(季節調整値)は、対先月比0.99倍(–15,376件)となり、前月より0.01ポイントの減少という結果となりました。これはパート以外での求人数が減少した結果であり、パート求人は逆に先月より736件の増加となっています。この背景には積極的な採用活動を行ってきた宿泊業と飲食サービス業が、コロナ陽性判定者の急増を受けての活動鈍化が考えられます。
実際に産業別の傾向を見ると、しばらく50%以上の増加率をあげていた宿泊業と飲食サービス業が、もっとも大きな数値ではありますが30.9%増という結果に。製造業が16.9%増、生活関連サービス業と娯楽業が16.7%増、情報通信業が13.5%と続いています。
とはいえ、対前年同月比では12.0%も増加していることを見ると、第7波とも言われるコロナ陽性判定者の急増傾向は、今後の求人数の増減に大きな影響は与えないだろうとも考えられます。

新規求職申込件数推移(季節調整値)

(厚生労働省 一般職業紹介状況(職業安定業務統計)より)

ハローワークへ新しい仕事を求めて求職登録した人数を示す、新規求職申込件数推移(季節調整値)を見ると、前月よりも735件の減少とほぼ横ばいの推移となりました。ボーナスシーズンが目前でもあり、早急な求職活動を控えていることも考えられますが、緩やかでありますが2ヶ月連続での減少傾向は今後、企業にとって新たな人材確保がますます難しくなるのではないかという懸念も感じさせられます。

7月後半から続くコロナ陽性判定者の急増は、観光業や飲食業にブレーキがかかるのではと懸念する声が上がっています。その一方、行動制限は行わないとの政府の方針にも示されるように、withコロナによる経済政策によって以前のような景気の急減速は起こらないだろうとも考えられます。今回は新規求人数も求職者数も減少という結果となりましたが、有効求人倍率が多少ではありますが増加傾向が強まっています。これはこれまで積み上がった求人が消化できていないと考えられますので、人が大きく動き出す下期での採用活動はさらに厳しさを増していくと思われます。

毎月勤労統計調査速報2022年6月(2022年8月5日データ)

常用雇用及び労働異動率

(厚生労働省 毎月勤労統計調査より)

毎月勤労統計速報の概況によりますと現金給与総額は452,695円で、前月から2.2%の増加となりました。そのうち一般労働者が608,617円(2.5%増)、パートタイム労働者が108,730円(2.7%増)。パートタイム労働者比率は、31.31%(1.5%増)という結果となっています。所定内給与については一般労働者が319,8417円(1.5%増)で、パートタイム労働者の時間当たり給与は1,228円(1.1%増)となっています。
共通事業所による現金給与総額は1.8%増で、そのうち一般労働者が1.8%増、パートタイム労働者が2.9%増加。所定外労働時間を見ると10.1時間と対前月6.1%も拡大し、引き続き給与額も残業時間も増加傾向にあります。賃上げが1.8%の増加は一見するとプラスの情報に見えますが、一向に収まる気配のない物価の上昇ペースはそれ以上。消費者物価指数は対前年度2.4%上昇となっており、賃上げがまったく追いつけてないことがわかります(https://www.stat.go.jp/data/cpi/sokuhou/tsuki/index-z.html)。収入と支出とのアンバランスが離職の原因になりかねない状況は、おそらく今後も続くことが見込まれます。

労働異動においては前月同様に飲食サービス業が9.2%、医療・福祉が2.6%、建設業が2.1%で増加傾向が続いています。また、withコロナによる経済政策の影響で、不動産・賃貸業の就業人数が増加(2.7%)しています。一方で複合サービス事業の-6.7%、金融業、保険業の-1.2%に見られるように、業績不振と銀行・郵便局での人員削減の影響が今もなお続いている結果となりました。

■トピックス

今月は賃金に関連したニュースを紹介します。毎月勤労統計速報の概況で賃金の増加傾向が続いているにも関わらず、物価高が止まらない状況の中、最低賃金において気になるニュースが2点報じられました。

最低賃金 過去最大“全国平均31円引き上げ”答申 厚労省審議会

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220802/k10013747381000.html

最低賃金引き上げ額の目安

今年度の最低賃金について生活必需品を中心とする物価の上昇を踏まえ、全国で平均31円引き上げの答申が行われました。これは昨年度の28円を上回り、過去最大の引き上げ額。目安通りになれば、全国の最低賃金は平均961円となります。なお、各都道府県の引き上げ額の目安は上記の通りです。

最低賃金31円引き上げ 日商会頭「企業の支払い能力、反映されず」

https://news.yahoo.co.jp/articles/c48f0598c554bf4fdee4e8d3f554c11825e69b8f

厚生労働省の審議会の答申を受け、日本商工会議所の三村会頭が目安額に対し、物価上昇を踏まえつつも、「企業の支払い能力の厳しい現状については十分反映されたとは言い難い」とのコメントを発表しました。その理由としてコロナ感染急拡大の影響に懸念される宿泊業や飲食業、原材料やエネルギー価格などの高騰を十分に価格転嫁できない企業の現状を挙げ、政府には中小企業支援策に十分な予算確保など、企業が自ら賃上げしやすい環境を成整備することを求めています。

■まとめ

以前と比較しても、国内の景況感に対する新型コロナウィルスの影響は、withコロナ政策の浸透によってだいぶ小さくなったと考えられます。しかし、実質賃上げが1%台に対し、 消費者物価指数の上昇率が賃上げを上回っている現状は新たなリスクと考えられます。今後、物価上昇に賃金が追いつけるかどうかは、企業だけではなく業界全体としての景況感次第とも言える状況になりつつあります。 今後は業績が好調な業界や十分な賃金を支払える企業などへ、人材が流れる可能性はますます高まっていくことが考えられます。人材の流出をできる限り食い止めながら、新たな人材の確保を行っていくためにも、採用側の魅力を強く発信していく必要があります。天職市場では採用に関する課題に対し、ベストとなる提案を行います。現状にお困りの際は、ぜひ一度ご相談を。

※採用市況感レポートは、統計数値をもとに分析した内容を月一回お届けします。

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